『曜変・油滴天目 茶道具名品展』

2013 / 03 / 11 by
Filed under: 展覧会日記 
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『曜変・油滴天目 茶道具名品展』

『曜変・油滴天目 茶道具名品展』

2013年3月9日(土)は静嘉堂文庫美術館で標記展覧会を観てきました。

三菱財閥の岩﨑彌之助・小彌太父子による茶道具コレクションが堪能できるすばらしい展覧会。大名物である茶入「付藻茄子」「松本茄子(紹鴎茄子)」をはじめとする茶入れや数々の碗が楽しめます。とりわけタイトルに挙げられている2つの碗は見惚れてしまいますよ。

国宝 曜変天目

国宝 曜変天目

世界にたった3つしか存在しない神秘の曜変天目茶碗。その中で最も色が鮮やかな「曜変天目」。
静嘉堂文庫美術館では1年おきくらいにこの曜変天目を展示していて、以前から観に行こう観に行こうと思いつつなかなか不便な場所なので行けずにいたんですが、このたびやっと現物を観ることができました。碗全体を彩る瑠璃色の金属光沢と虹色に輝く斑点が実に美しいですねぇ。

重文 油滴天目

重文 油滴天目

朝顔の花のように平たい形状の内側と外側に大きな斑紋が散らばる「油滴天目」。
碗の内側の斑紋は銀色1色に輝いていて、曜変に比べるといまひとつ地味だなぁという印象でしたが、碗の外側の斑紋には目を奪われた。スペクトル分光のようにいろいろな色が見えます。
ひとつの斑点が複数の色を放っているのではなく、ある部分の斑点は青1色、ある部分の斑点は緑1色、ある部分の斑点は橙色1色といったように、それぞれの斑点が別々の色を放ち、碗全体としてグラデーションをなしている。
これは下の方から光が当てられているためのスペクタクルのように思えます。きっと碗の内側の斑紋も光を当てれば同じように色とりどりの光を放つのでしょう。実に美しいです。

これら二つの碗以外にもいろいろ眼福なものが数多く展示されていましたが、その中でとりわけ目を惹かれた碗について触れます。

高取茶碗 銘「一文字」。

黒と黄土色のツートンカラーの碗。説明書きには、鉄釉と藁灰釉を使っている、とあります。黒が鉄釉で黄土色が藁灰釉なんですかね。
だとするとベースに藁灰釉をかけ、その上から鉄釉を垂れ流した、といったところでしょうか。
おおむね、碗の上部が黒で下部が黄土色なんですが、鉄釉の流れ方が実に良い。上から下に向けて黒が黄土色に滲むさまは、ボストン美術館展で観た曽我蕭白「雲竜図」の左端の雲と瓜二つ。碗それ自体がまるで一幅の水墨画のようで実に味わい深いです。

また、この展覧会、8ページもののリーフレット『静嘉堂蔵 茶道具の美 -岩崎家父子二代のコレクション-』がおまけについてきます。
何でも、ふだんだったら100円するものだそうで、その情報も造本もかなりしっかりしたもの。

会期は2013年1月22日(火)~3月24日(日)。



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