『幽霊図・妖怪画 ~異形のものたち~』

2012 / 08 / 30 by
Filed under: 展覧会日記 
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河鍋暁斎記念美術館

河鍋暁斎記念美術館

毎年、夏になると美術館や博物館では、幽霊や妖怪といった異形のモノを題材にした展覧会が多く開催されます。

今夏は、福岡市立博物館で開催中の『幽霊・妖怪画大全集』(会期:2012年6月30日~9月2日)が、お化け好きにはチョーやばい。
YKI48総選挙もかなりヤバいけど、出品作品がツボを押さえた素敵ラインナップでこれまたやばい。
神奈川から福岡まで遠征しようか迷ったけれど、Twitter の TL で、なんと来夏、本展覧会が横浜そごう美術館で開催されることが決まったという、萌え過ぎる情報を入手したので1年間モヤモヤしながら待ち続けようと思う。
福岡では160点もの作品が展示されているそうだけど、そごう美術館の広さを考えると、すべて展示できるか否か微妙な気もする。規模縮小されるのかなぁ、と危惧もしたり。

それはさておき。

幕末から明治にかけて活躍した日本が誇る天才絵師・河鍋暁斎
種々様々なものを描いた暁斎ですが、その中でも幽霊や妖怪、おどろ、残酷などの画題は、暁斎を特徴づけるものです。

埼玉県蕨市にある河鍋暁斎記念美術館では、2012年7月1日(日)~8月25日(土)の会期で、標記展覧会がおこなわれていました。一部展示替えがあるということでしたので、7月21日(土)と8月24日(金)に観てきた次第。

「暁斎百鬼画談」「狂斎興画帳(特に『摩道』)」「化々学校」など暁斎定番のお化け絵を堪能しました。

そんな中、とりわけ印象に残ったのは「月に狼」という肉筆掛軸。
筆の勢いにまかせた力強いタッチで水墨画風のオオカミが描かれています。周囲の岩肌や朧月も水墨画風。
そんなオオカミが咥えているのは、男の生首。
しかしその生首は、細い線で描かれ、細密に彩色が施されており、オオカミや風景とはまったく異なるたリアル指向のタッチで描かれています。ところどころ傷ついて皮膚がめくれ、肉が覗いている、何とも凄まじい形相。
ミスマッチが心に残る絵です。

あと「九相図」。説明書きをしっかり読まなかったんですが、「肪相」か「壊相」に相当する場面でしょうか。腐敗によって体内に発生したガスで膨れ上がった赤黒い屍体が、実に凄まじく恐ろしい。

このような鬼気迫る絵を描く一方、同じ幽霊や妖怪をテーマにユーモラスで微笑ましい絵を描いてしまうのも暁斎のすばらしさ。実に萌えますね。



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