『琵琶湖をめぐる近江路の神と仏』

2012 / 09 / 21 by
Filed under: 展覧会日記 
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『琵琶湖をめぐる近江路の神と仏』

『琵琶湖をめぐる近江路の神と仏』

2012年9月15日東京エリアぐるり美術館巡りの旅その3。

LIXIL ギャラリーで美しいモノクロ陶器を堪能した後は、このエリアに存在する4大美術館のふたつめ三井記念美術館で開催されている標記展覧会を観ました。会期は2012年9月8日(土)~11月25日(日)と、まだ始まって間もない展覧会。

この展覧会、美術館サイトにおいて来年度のスケジュールとしてタイトルだけが出たときから楽しみにしていたんですよねー。しかし展覧会の内容が掲示された段階で大いに盛り下がり、出品目録のPDFでとどめを刺されたのです。

はっきり言って看板に偽りあり。
これなら2アイテムの展示を取りやめて、タイトルを『琵琶湖をめぐる近江路の仏たち』とでもするべきだと思う。

仏教では、崇拝の対象として、仏像というアイドルや曼荼羅といったイコンなど、アーティファクトが実に充実しています。
それに対して神道では、崇拝の対象としてのアイドルやイコンといったアーティファクトはちょっと思い当たりません。
神道では、神社が建てられている山自体や、境内に生えた老樹、裏手にある巨大な岩石といった、自然物をご神体として崇めるのが一般的ではないでしょうか。
人の姿をした神々の図像を祭っているとか、彫像に頭を垂れるとか、私の乏しい経験範囲では聞いたことがない。狛犬や稲荷、庚申なんかはアーティファクトだけど、崇拝対象とは違うしな(庚申はそもそも神道じゃないか)。

この展覧会ではわざわざ『神と仏』と、神道と仏教を並列に置いているんだから、当然展示物のボリュームは半々だろう、仏教アーティファクトに対応する神道アーティファクトって何だろう、それを数多く観ることができるなんて期待しちゃうなぁ、と胸高鳴っていたのに、すっかり騙されたよ!

出品目録によると、前中後期あわせて全71アイテムが展示されるとのこと。しかしこのうち神道に関わるものはたったの2アイテム。2対69という比率にも関わらず『神と仏』と言い切る感性は如何なものか。

しかもその2アイテム、1つは「男神坐像二躯(伝落別命、伝大己貴命」(小槻大社)、もう1つは「女神坐像三躯」(建部大社)というものですが、どちらも平安調で、どうも神道というイメージが湧きづらいものでした。

ところで女神坐像三躯のうち、中央の一番大きなものはヤマトタケルの妃なんだそうな。もうその時点で女神じゃなくて女人なんだけどそれはさておき、誰なんだろうこの女性。
横須賀在住者としてはヤマトタケルの妃としての一押しは、走水神社に祀られているオトタチバナヒメ。でも滋賀県にある神社でオトタチバナヒメはさすがにないかなぁ。ミヤズヒメかなぁ。でもミヤズヒメは尾張のヒメだしなぁ。

まぁそんな感じで文句たらたらですが、彫像としての仏像、画像としての仏像、曼荼羅や仏具等々、展示物自体はすばらしいものが多かったですよ。
個人的には展示室7にあった7-30「如意輪観音像」が印象に残っています。

なお美術館が入っている建物の1階エントランスホールでは、本展覧会の前期にほぼ併せた2012年9月8日(土)~9月23日(日)の会期で『水と神と仏の近江』という写真パネル展も開催されています。
寿福滋さんとおっしゃる写真家による美しい風景や仏像などの写真が堪能できます。

『水と神と仏の近江』

『水と神と仏の近江』



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