反応拡散系(3)
前回、Gray-Scott モデルにおける反応拡散方程式を見ました。以下のようなものでした。
vt = dvΔv - u^2v + F(1-v)
ut = duΔu + u^2v - (F+k)u
dv : V の拡散率
du : U の拡散率
F : 原材料 V の外部からの供給率&中間生成物 U の外部への流出率
k : 中間生成物 U の最終生成物 P への転換率(U の除去率)
これを実際の計算式に落とし込むとどうなるのか、というのが今回の話。
反応拡散系(2)
まずは wonderfl 投稿の提示。
Gray-Scott モデルの反応拡散方程式 – wonderfl build flash online
反応拡散系というモデルは、熱反応や動物の体表の模様、植物の葉脈、生物組織の形成、カオス、熱伝導、波動の生成などなど、実に幅広い範囲をフォローできる、かなり優れものの概念なんだそうです。
反応拡散系(1)
それはいつの日のことでしたろうか。wonderfl にひとつのコードが投稿されたのは。
反応拡散系をBitmapで – wonderfl build flash online
↑は反応拡散系というカオスにも関係のある数理モデルを使ったものとのことでした。
計算結果が示すビジュアルの美しさにすっかり魅了された私は、そのコードをじっくり拝見しました。
そして BitmapData に対して BlurFilter や ColorTransform、BlendMode、threshold などを駆使した色操作によって、この美しいビジュアルが実現されていることを知りました。
しかし、このコードからは反応拡散系の原理がよく分かりません。
原理も分からずにコードだけパクっても意味ないので、ネットや書籍で反応拡散系を調べてみたわけですが、このハードルがまた高ぇ高ぇ。偏微分方程式って何よ一体?
いろいろ調べていたところ、反応拡散系の中でも Gray-Scott モデルによる反応拡散方程式というものについて、噛み砕いた資料をネット上で得ることができました。
Simpley Martin Attractor
Hopalong というカオスを先に見ました。
Barry Martin というイギリスの数学者によるもので、Scientific American 1986年9月号において、A. K. Dewdney という数学者が “Computer Recreations” というコラムで紹介してから有名になったものだということでした。
その Barry Martin による、さらに簡単な漸化式で実現できるカオスがあるということなので、今回はそれについて触れてみます。
特に名前は付けられていないっぽい。どうしたものか。Hopalong も Martin Attractor っていうから、とりあえず Simpley Martin Attractor とでも呼びますか。それが↓
Simpley Martin Attractor – wonderfl build flash online
Hopalong
Hopalong – wonderfl build flash online
イギリスはバーミンガムにあるアストン大学の Barry Martin という人によって発見されたカオスで、Scientific American 1986年9月号に掲載された A. K. Dewdney という人のコラム “Computer Recreations” に紹介されたことで有名になったんだそうです。
というわけで発見者の名をとって Martin Attractor とも呼ぶとか。
その名前の由来は調べてもよく分かりませんでしたが、Iterations II – Hopalong の記事には、”hop along”(沿って跳ねる)が語源と思われる文章が出てきます。
ある点から始まり、楕円軌道に沿って跳ね回る点によって図が描かれる、というような意味のことが書いてあります。
↑に示したもののコードにおけるパーティクルの色決定は、漸化式によって求められた順に HSV のように循環するようにしています。
例えば、パーティクルが同心円状に打たれるのならば、同心円状に内側から外側に向かって滑らかな色となるはずですが、実際のところ、そうなっていません。
同心円状に色が飛び飛びになっています。この辺りからも hop along という印象を受けますね。