『ファインバーグ・コレクション展 ―江戸絵画の奇跡―』(2)
2013年7月5日(金)、江戸東京博物館で観た標記展覧会で展示されていた絵のうち、特に心に残った作品6点について述べています。
前回は5点について述べました。本稿では最後の1点、曾我蕭白「宇治川合戦図屏風」について徒然なるままに。この展覧会のキービジュアルになっている絵ですね。
曾我蕭白というと、筆致や色遣いなどその画風がこってりとくどくて、でも、そこに痺れる憧れる絵師ですが、この作品については、もっぱら描き方ではなく描かれた画題について述べたい。
平家物語の一節「宇治川の先陣争い」には、源氏方の武将、梶原景季と佐々木高綱が一番乗りの功名を競ったとあります。そのとき景季は「
ここで描かれているのはこの先陣争いの場面です。
向かって左側の赤い武者と黒い馬が景季と磨墨、右側の緑の武者と灰褐色の馬が高綱と池月です。

磨墨に騎乗する梶原景季(左)と池月に騎乗する佐々木高綱(右)
『ファインバーグ・コレクション展 ―江戸絵画の奇跡―』(1)

『ファインバーグ・コレクション展 ―江戸絵画の奇跡―』
2013年7月5日(金)、江戸東京博物館で標記展覧会を観ました。
本展覧会は2期制で、前期が2013年5月21日(火)~6月16日(日)、後期が2013年6月18日(火) ~7月15日(月)。
なかなか時間が取れなくて、終了間際の鑑賞となりましたが、前期も何とか時間を捻出すべきだったなぁ、とちょっと後悔。
それはともかく、印象に残った絵6点について徒然なるままに。
『マテリアライジング展』

『マテリアライジング展』
『夏目漱石の美術世界展』を観たあとは、そのまま東京藝術大学大学美術館陳列館に移動し、標記展覧会を観賞。会期は2013年6月8日(土)~23日(日)でした。
「アルゴリズミック」や「ジェネラティブ」といったキーワードで代表されるシステマティックな表現についての展示ということで、観る前はワクワクしてたんですよね。でも公式サイトなどを観ていると、なんか思ってたんと違う臭がプンプン漂っていて不安でもありました。
で、実際観てみて、ガッカリ側に心が大きく振れました。もうちょっとコンピュータ・プログラミング的な展示があるのかなぁ、と思っていたんです。でもそうではなくてコンピュータや3Dプリンターなどを使って産出された物体の展示ばかりでした。
そんな中、心に強く残ったのは土岐謙次という人の「七宝紋胎乾漆透器」(出展作家紹介)。これは美しい。他の展示からは「美」は一切感じられませんでしたねぇ。後述の2件を除いて。

土岐謙次「七宝紋胎乾漆透器」(1)

土岐謙次「七宝紋胎乾漆透器」(2)
『夏目漱石の美術世界展』

『夏目漱石の美術世界展』
平成25年6月22日(土)、東京藝術大学大学美術館で標記展覧会を観ました。会期は 2013年5月14日(火)~7月7日(日)。
文学にあまり興味のない私は、夏目漱石というと「夢十夜」くらいしか、積極的に読んだことがありません。
ただ、美術展をいろいろ巡る間に、「草枕」の中でミレイの「オフィーリア」について触れているという知識は得ていました。
ところが夏目漱石は美術好きはかなりのもので、「オフィーリア」以外にも、かなり多くの数の絵画について自作中で触れ、さらに小説の主題や重要なポイント等としてもふんだんに使っているということを、この展覧会で知ることができました。
『街の記憶 写真と現代美術でたどるヨコスカ』

『街の記憶 写真と現代美術でたどるヨコスカ』
現在、横須賀美術館では標記展覧会が開催されています。
横須賀美術館の裏山を登られた方は三軒家園地という広場をご覧になられたかも知れません。これはかつて東京湾防衛のための砲台が設置されていた場所で、この他にも観音崎地区には砲台が数多く設置されていました。それらは軍の施設であるため、もちろん民間人の立ち入りは禁止。
また横須賀の近代化みならず、日本近代化の原動力になった横須賀製鉄所という施設が汐入地区にありました。のちにそれは横須賀海軍工廠となり、第二次大戦後は横須賀米海軍基地となり、現在に至ります。
このように横須賀のあちこちに軍の施設があるためなのか、第二次世界大戦が終わるまで街の景観の撮影や写生が禁じられてきたとのことです。地元民なのに初めて知る衝撃の事実。
そして戦後になると、横須賀はかつて日本軍の基地の町、今はアメリカ進駐軍の基地の町という特殊性から、東松照明や森山大道といった写真家が作品のモチーフを求めて集まってきたそうです。
そんな戦後から現代まで、横須賀を舞台に撮影された写真で横須賀史を辿ろうというのがこの展覧会です。
広く世間一般に向けてというよりもむしろ、横須賀市民に向けた、住んでるあなたも知らない横須賀をご覧あれ、といった印象の展覧会と見受けました。
