『多賀 新 ―線描の魔術師―』

『多賀 新 ―線描の魔術師―』
もう30年くらい前ですかねー。春陽堂書店という出版社から文庫版の江戸川乱歩全集が刊行されまして、そのカバー絵に強い衝撃を受けました。
細密な線。モノクロームのグラデーションの美しさ。エロスとタナトスが支配する暗黒幻想世界を描いた緻密な画面構成。心を鷲掴む絵の数々に酔い痴れたもんです。
江戸川乱歩はそれほど興味ないのに、カバー目当てで毎月刊行される文庫本を買い続けました。それらの文庫本は積ん読のまま月日が経ち、やがてそのカバー絵をまとめた画集が出版されました(「銅版画・江戸川乱歩の世界」)。もちろん即買い。文庫本の方は散逸してしまったのでした。そんな過去の想ひ出。
それらの心躍る絵を描いたのは多賀新というお名前の版画家でした。
その多賀新の展覧会が2012年11月3日(土)~2012年12月16日(日)の会期で開催されるというので、終了間際の2012年12月12日(水)、会場である芳澤ガーデンギャラリーへ行ってきた次第。
『竹内栖鳳 ―京都画壇の画家たち―』

『竹内栖鳳 ―京都画壇の画家たち―』
いつだったでしょう。「班猫」という題名の絵があると知ったのは。
何! ハンミョウ?! あの美しい鞘翅目の昆虫を描いた絵があるのか!
あの獰猛な昆虫のどのような姿態をとらえているのだろう、あの青や赤に輝く鞘翅がどのように彩色されているんだろう、ぜひ観てみたいなぁ。
などと、この大空に妄想の翼広げ飛んで行ってしまった、かつての私です(ハンミョウの漢字表記は「斑猫」だということをすっかり失念していたのが敗因)。
実はその絵、「はんみょう」ではなく「はんびょう」と読み、猫を描いたものだということを知って、おおいに意気消沈してしまったわけですが、それは早とちり。ずいぶん味わい深い素敵な日本画なのでした。
その「班猫」の現物が展示されていたのが2012年9月29日(土)~11月25日(日)の会期でおこなわれていた標記展覧会。会場は山種美術館。
終了間際の2012年11月24日(土)に滑り込みで観てきました。
ところで「班」という文字には「斑」の意味もあるんですかね。ぶち猫を描いた絵ということなら「斑猫」という表記になると思うんですが。
『もうひとつの川村清雄展』

『もうひとつの川村清雄展』
両国で『維新の洋画家-川村清雄』を観たら、もう居ても立ってもいられなくなり、山手線でみると正反対に近い場所になる目黒駅に向かいました。
なぜ目黒か。
これまた TL で仕入れた情報ですが、目黒区美術館で2012年10月20日(土)~2012年12月16日(日)の会期で標記展覧会が開催されているからです。
題名のとおり、こちらでも川村清雄作品が展示されています。
両国の展覧会では、川村清雄の画業のみならず、その経歴の紹介にも力が注がれており、絵画作品の他、家系に関するアイテムや留学に係る書状、留学時に得た表彰状などの展示で、その人となりが概観できるようになっていました。
そして、両国では一切触れられていなかったように思うんですが、川村清雄という人は油彩画家であるとともに、装丁家として活躍した人でもあったという。目黒の展覧会は、その装丁家としての川村清雄の仕事も紹介されています。
つまり両国と目黒の両方を観ることで、川村清雄という人の業績を、複眼的というか立体的と言うか、より深く理解することができる構成になっているわけですね。目黒区美術館グッジョブ!
『維新の洋画家 -川村清雄』

『維新の洋画家 -川村清雄』
2012年11月23日(金)、江戸東京博物館に標記展覧会を観に行きました。
当初、あまり興味がなかった本展ですが、Twitter の TL でずいぶん評判が良かったのと、日曜美術館アートシーンで紹介されていたのを見て、これはちょっと観といた方がいいかも、と考え直した次第。
で、実際に訪れてみて、観といて良かったと切実に感じました。日本にはスゴイ画家がいたんですねぇ。
突拍子もないと思われるかも知れませんが、展示された数々の絵を観ていて、スチームパンクを想起しました。
あり得たかも知れない日本油彩画の未来を観た、とでも言いますか。
『出雲 聖地の至宝』

『出雲 聖地の至宝』
というわけで引き続き、トーハクの本館で開催されている標記展覧会を観ました。会期は2012年10月10日(水)~2012年11月25日(日)。
本展は、古事記や風土記、神像などといった神話的側面と、出雲各地で出土した銅鐸や銅剣、戈などの文物による史実的側面の二つから出雲を観る、という構成になっています。
今回の目玉は、出雲の地から初めて外地に出たという宇豆柱でしょうかねぇ、やはり。
しかし個人的には、出雲神社社殿の本来の姿を再現した1/10スケールの模型に惹かれました。長く高い階段の先にある社。その高さは48メートルと推定されているとか。この巨大な社殿は御霊信仰の現れですよね。
